魚の過剰摂取
猫のフランケン生食で、魚の食べ過ぎによる健康被害の危険について。
魚の食べ過ぎの危険
チアミン欠乏症
- ネコに生魚を習慣的に与えていると、ネコがチアミン欠乏症を起こす危険があります。チアミンとはビタミンB1のことです。
- 魚の種類によっては、チアミナーゼという酵素の含有量が多いことがあります。チアミナーゼはチアミンを破壊する酵素です。生魚からチアミナーゼを習慣的に摂取していると、チアミンが破壊されることで欠乏してしまうことがあります。
- チアミナーゼは加熱により破壊されます。魚の缶詰や調理した魚肉を与えている場合、魚が原因でチアミン欠乏症を起こす危険はありません。
- 生の魚でも、たまに少量を与えるだけならネコがチアミン欠乏症を起こすことは考えにくいです。生魚や刺身は絶対に与えてはいけないわけではなく、与える頻度や量が十分低ければ大丈夫です。
黄色脂肪症
- ネコに魚を習慣的に与えると、黄色脂肪症(汎脂肪組織炎、イエローファット)を引き起こすおそれがあります。黄色脂肪症は、不飽和脂肪酸の過剰摂取によりビタミンEが破壊されることで起こります。
- オメガ3脂肪酸を含む不飽和脂肪酸の含有量が高い魚を与えすぎると、黄色脂肪症の原因となりやすいです。不飽和脂肪酸はネコの体内のビタミンEを破壊しますが、多くの魚はビタミンE含有量があまり高くありません。よってネコが魚を食べるほどビタミンEが減っていくことになり、習慣的に魚を与え続けることでビタミンEが欠乏してしまいます。
- マグロの過剰摂取は、黄色脂肪症の一番の原因です。マグロの赤身は不飽和脂肪酸が多くビタミンEが少ないため、多量に与えるとビタミンEの欠乏を引き起こします。またマグロなどの魚はネコが大好きな強い香りを持つため、ネコが魚以外の食べ物を拒否するようになることがあります。
- ネコの黄色脂肪症を避けるため、魚が主原料のキャットフードにはビタミンEが添加されていることが多いです。フランケン生食で与える魚は少量にとどめるのが前提のため、ビタミンEを添加する必要はありません。
その他の危険
- 魚の種類によっては、水銀など重金属による汚染が激しいものがあります(脚注1)。一般的に食物連鎖の頂点に近い魚ほど汚染度が高いです。
- 多くの魚はマグネシウムやリンの含有量が高く、尿路疾患や腎臓病の危険が高まります。
- 魚はネコの甲状腺機能亢進症との関係が疑われています(脚注2)。
- 魚の養殖では、寄生虫などに対抗するため強い抗生物質が使われることがあります。ネコがこのような養殖魚を食べると、魚に残った抗生物質を一緒に摂取してしまいます。
- 魚などの魚介類に過敏に反応したり、アレルギーを持つネコもいるので注意です。
- 魚は強い匂いを持つため、他の食材と比べてネコに好まれやすいです。ネコに習慣的に魚を与えていると、お肉など他の食材を食べなくなってしまうことがあります。
魚油サプリの取り入れ
- フランケン生食でネコに与える魚の量を減らしたり、魚を与えたくない場合、魚油サプリメントによりオメガ3脂肪酸の補給ができます。
- 魚油サプリ(1000mg)を1週間に3回与えることで、およそ900mgのオメガ3脂肪酸の補給ができます(脚注3)。これだけのオメガ3脂肪酸を摂取するにはそれなりの量の魚を食べる必要があり、ネコの健康に良くありません。
- 魚油サプリのみでオメガ3脂肪酸を補給し、ネコに魚を与えない飼い主さんもいます。また魚油サプリに加え、少量の魚を使うことで栄養バランスを改善したり、食事の多様化を目指す人もいます。
脚注
スポンサードリンク