魚のオメガ3脂肪酸
猫のフランケン生食で、魚や魚油サプリを使ったオメガ3脂肪酸の補給について。
魚でオメガ3脂肪酸を補給
- 小動物や小鳥とは異なり、魚はネコの自然の獲物ではありません。しかしフランケン生食を実践中の多くの人が、食事に魚や魚油を取り入れています。これは魚が含むオメガ3脂肪酸(ω-3脂肪酸)を食事に取り入れるためです。
- ネコの必須脂肪酸としては、「オメガ3」と「オメガ6」が挙げられます。オメガ3脂肪酸は、緑色の草や葉っぱ、藻類などの植物に含まれます。一方オメガ6脂肪酸は、木の実や種子、穀物などに由来しています。
- これらの脂肪酸を含む植物を食べた動物は、体にオメガ3やオメガ6といった脂肪酸を含んでいます。野生のネコは動物を食べることで、植物を食べなくてもこれら必須脂肪酸の摂取ができます。
- フランケン生食では、野生の食事にできるだけ近い栄養バランスの食事をネコに与えます。ここで主食となるのは、野生動物の肉ではなく、人間の食用として育てられた家畜の肉です。
- 人間の食用となる家畜は、大半が大量生産され、穀物などで太らされています。オメガ6脂肪酸を多く含む穀物で太らされた家畜の肉は、オメガ3の割合が不足してしまいます。逆にオメガ3脂肪酸を多く含む草を食べていた牛などの肉は、穀物を食べていた牛よりもオメガ3の割合が高いです(脚注1)。
- 現代の家畜の肉は、野生動物と比べてオメガ3脂肪酸が不足していることが多いです。そのためフランケン生食では、魚や魚油サプリメントを使ってオメガ3脂肪酸を補給することが推奨されています。
- 魚や魚油サプリメントには、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。DHAやEPAは、ネコが必要な動物由来のオメガ3脂肪酸です。
魚VS魚油サプリ
- DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸の補給には、魚か魚油サプリメントを使います。
- 魚は生で与える人もいれば、魚の缶詰を与える人もいます。魚は肉とは異なるため、生で与える場合、尖った骨や寄生虫に特に注意しないと危険です。
- 魚油サプリメントは、フィッシュオイル サプリメントと呼ばれて販売されることもあります。肝油はビタミンA過多になるため使わず、イワシ、アンチョビ、サバ、サケ、オキアミなどが原材料の魚油を使います。
- 魚と魚油サプリ、どちらにも良い点や悪い点があります。下の表にまとめてみました。
魚と魚油サプリの特徴
比較点 | 魚 | 魚油サプリ |
---|---|---|
オメガ3脂肪酸 含有量 |
オメガ3脂肪酸の含有量は魚の種類ごとに異なります。オメガ3脂肪酸の含有量が低い魚もいるため注意です。イワシなど、寒い環境で生きられる脂っこい魚はオメガ3脂肪酸の含有量がとても高いことが多いです(脚注2)。 | サプリメントには通常DHAとEPAの含有量が書かれていて、決まった量を与えることができます。 |
水銀濃度 | 魚の種類によっては、水銀など重金属による汚染が激しいものがあります。一般的に食物連鎖の頂点に近い魚ほど水銀濃度が高いです。メカジキ、サワラ、一部のマグロ等は特に水銀濃度が高いです(脚注3)。 | 水銀など汚染物質の濃度が危険でないことを検査済みのサプリもあります。 |
効率性 | オメガ3脂肪酸を適量摂取するには、それなりの量の魚を食べる必要があります。缶詰ではなく生魚にする場合、与える量はさらに増えてしまいます。 缶詰のイワシは100gあたり約1480mgのオメガ3脂肪酸を含みます(脚注4)。1週間あたりオメガ3脂肪酸900mg(魚油3000mgとおよそ同等)を摂取するには、約61gの缶詰イワシを与えることになります。缶詰ではなく生魚を使う場合は栄養分が濃縮されていないため、さらに量が必要です。 缶詰の魚が植物油で保存されている場合、植物油からオメガ6脂肪酸を摂取してしまうため、オメガ3脂肪酸の割合を増やす効率が悪くなる点にも注意です。 |
魚油サプリを利用すれば、ネコに魚を与えなくてもオメガ3脂肪酸を補給できます。例えばネイチャーメイドのスーパーフィッシュオイルは、1カプセル1200mgあたりオメガ3脂肪酸360mgを含みます(脚注5)。1200mgカプセルを1週間に2~3回使うだけで、魚油2400~3600mg(うちオメガ3脂肪酸720~1080mg)を補給できます。 |
過剰摂取の 危険 |
魚は魚油サプリのように濃縮されていません。そのため毎日大量に魚を与えていることがなければ、オメガ3脂肪酸の過剰摂取となることは考えにくいです。フランケン生食では、週1回程度魚を与えることが推奨されています。 | 魚油サプリはオメガ3脂肪酸が濃縮されているため、与えすぎに注意です。摂取上限量が設定されているわけではありませんが、1000mg程度のカプセルなら週2~3回で十分です。想定される魚油サプリの副作用としては、胃腸への負担、傷の治りが悪くなる、インスリン抵抗性の変化などが挙げられます(脚注6)。 |
食事の多様化 | ネコに与えられる魚は一種類ではないため、食事の種類を増やすことができます。魚好きのネコさんなら喜んでくれます。 | 魚油サプリにも一応何種類かありますが、魚ほどは種類が多くありません。食事の種類を増やすことには貢献できませんが、フィッシュオイルが好きなネコさんの場合、食事にかけると喜んでくれます。 |
費用 | 魚1匹、1缶の値段は魚油サプリ1瓶の値段よりも安いです。しかしサプリは1回あたりの使用量が少ないため、長期的に見ると魚の方が高くなってしまいます。 | 魚油サプリ1瓶の値段は魚1匹よりも高いです。しかし長期的に見れば魚油サプリの方が安いです。 |
こだわり | 生食を実戦する人の中には、絶対にサプリメントを使わないこだわりを持った人もいます。その場合、生魚や魚の缶詰を使ってオメガ3脂肪酸を供給することになります。 | 魚油サプリはフランケン生食で一番人気のサプリです。合成ビタミンなどのサプリを使わない人でも、魚油サプリは天然由来なので使うことも多いようです。 |
脚注
- Effects of winter stocker growth rate and finishing system on: III. Tissue proximate, fatty acid, vitamin, and cholesterol content. - PubMed - NCBI
- The University of Michigan Health System
- Mercury Levels in Fish | NRDC
- Nutrition Facts and Analysis for Fish, sardine, Atlantic, canned in oil, drained solids with bone
- Nature Made Fish Oil 1200 mg Liquid Softgel
- Potential Adverse Effects of Omega-3 Fatty Acids in Dogs and Cats
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