魚油サプリの過剰摂取
猫のフランケン生食で使う魚油サプリメントの副作用や、過剰服用による危険について。
魚油サプリの過剰摂取の危険
胃腸の調子が悪くなる
- 動物がオメガ3脂肪酸を多量に摂取すると、嘔吐や下痢といった胃腸への副作用が起こることがあります。これらの副作用は、特定の病気の治療のためにオメガ3脂肪酸を多量に投与したとき見られやすいです。
- オメガ3脂肪酸に限らず、食事中の脂肪を増やすと膵炎(すい炎)を引き起こすおそれがあります。一方で魚油サプリメントの服用によりネコが膵炎にかかったという報告は過去にありません(脚注1)。
- 理論上では、オメガ3脂肪酸が膵炎の予防に役立つといわれることもあります。これはオメガ3脂肪酸が血中の中性脂肪を減らす効果を持つためです。
傷の治りが悪くなる
- 魚油サプリを摂取しているネコは、そうでないネコと比べて血小板凝集が起こりにくくなる可能性があります。血小板のはたらきが悪くなると、ケガなどによる流血が止まるまでの時間が伸びてしまいます。しかし魚油サプリの投与と血小板のはたらきについての研究結果は対立するものがあり、確証はありません。
- 動物の傷が治る過程では、ある程度の炎症が起こる必要があります。オメガ3脂肪酸には消炎作用があるため、傷の治癒を妨げるおそれがあります。このことについても研究結果は対立しているため確証はありません。
- オメガ3脂肪酸により傷の治りが悪くなることについて、魚油サプリを過剰投与していない場合はあまり心配しなくて良さそうです。ネコさんが重症からの回復中だったり、手術を受けたばかりの場合に限り、念のため魚油サプリをお休みしたり、摂取量を減らした方が安全かもしれません。
その他の危険
- 食事にビタミンEを添加せずに魚油サプリを多量に与えすぎると、脂質の過酸化やビタミンE不足を招きます。症状が重くなると黄色脂肪症(汎脂肪組織炎、イエローファット)を引き起こすおそれがあります。フランケン生食で使う魚油サプリは少量なので、ビタミンEを添加する必要は特にありません。
- 炎症は体が持つ免疫機能のはたらきの1つです。オメガ3脂肪酸には消炎作用があるため、体の炎症を抑えることで免疫機能に異常を起こす可能性があります。
- オメガ3脂肪酸を摂取すると、ネコのインスリン抵抗性が変化するおそれがあります。糖尿病のネコさんの場合、魚油サプリメントを始める前に動物病院に相談した方が安全です。
- オメガ3脂肪酸を摂取することで、ネコが服用している薬の種類によっては効果が変わったり、薬が持つ副作用を引き起こすおそれがあります。ネコさんが薬を服用中の場合、魚油サプリを始める前に獣医師に相談しておくと安心です。
- 魚油サプリにビタミンが添加されている場合、ビタミン過剰症を引き起こす危険があります。ビタミンが添加された魚油サプリや、ビタミンAが高すぎる肝油は避けます。
- ネコに魚を与える場合、魚に含まれる水銀などの汚染物質が気になるところです。水銀などの濃度が危険でないことを検査済みの魚油サプリを使えば、汚染物質の心配はありません。
- 魚油サプリは脂質100%なので、少量でもカロリーが高いです。魚油をネコに与えすぎると太ってしまうことがあります。
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