ドライフードの炭水化物

ドライフード(カリカリ)に含まれる炭水化物の問題や糖尿病・膵炎について。

ドライフードは炭水化物が高い!

  • 多くのドライフード(カリカリ)は、一般的なウェットフードよりも炭水化物の割合が高いです。カリカリがカリカリたるためには、穀物・芋・でん粉などの炭水化物が必要です。
  • カリカリが長期間崩れずに形を保っていられたり、カリカリした食感が出せるのは炭水化物のおかげです。
  • 一般的なカリカリは、30~50%程度が炭水化物からできています(ブランドにより異なります)。
  • カリカリはご飯を出す人間側にとってとても便利です。しかし炭水化物の割合が高いため、ネコの健康にはあまり良くありません。

ネコの自然な食事の炭水化物量

  • 猫は真性肉食動物であり、野生のネコは獲物を丸ごと食べて生活しています。野生のネコは穀物や芋を食べることはありません。野生のネコが葉っぱや草を少しかじることはありますが、あまり量は食べず、そもそも消化できないため栄養面では関係ありません。
  • 野生のネコが摂取する炭水化物は、獲物の胃腸に残っていた食物にほぼ限定されています。
  • 野生のネコの食事はたんぱく質と脂質の割合が高く、炭水化物は1~5%程度となります。ドライフードの炭水化物割合30~50%は、ネコの自然な食事と比べてとても高いです。

ネコは炭水化物をうまく消化できない

  • ネコ科動物は、千万年以上の歴史の中で獲物の肉・骨・内臓を栄養にして生きてきました。そのため穀物のような炭水化物をうまく消化する体のつくりではありません。
  • 人間はだ液と一緒に消化酵素「アミラーゼ」を分泌します。アミラーゼにより、炭水化物の消化は口の中で噛んでいるときから既に始まっています。一方肉食のネコは穀物を食べることが想定されていないので、だ液にアミラーゼが含まれていません(脚注1)。
  • ネコも一応、膵臓(すい臓)から分泌する膵液でアミラーゼを供給できます。しかし人間のようにだ液のアミラーゼで炭水化物の消化が始まっていないため、ネコのすい臓の負担は大きくなります。
  • ネコが高炭水化物の食事を続けていると、すい臓が疲れ果ててしまうことがあります。このことにより、膵炎や糖尿病といった病気にかかる確率が上がってしまいます。

ネコの糖尿病

  • 糖尿病はまだ完全に解明されたわけではない複雑な病気です。しかし、ネコの食事に含まれる高い炭水化物量が大きな原因の1つと考えられています。
  • ネコの糖尿病は、炭水化物の低い食事を続けることで沈静化することが知られています。糖尿病のネコには、高タンパク&低炭水化物の食事と、沈静化に伴いインスリン量の調整を続けることが推奨されています。(脚注2
  • ネコが炭水化物の高い食事をとり続けると、糖尿病や膵炎だけでなく、肥満やそれに関連した病気にもかかりやすくなってしまいます。

ドライフードと糞の量

  • 炭水化物の割合が高いドライフードを食べているネコは、他のタイプの食事をとっているネコと比べ、たくさんの臭い糞をします。これは消化できなかった炭水化物がたくさん糞として排出されるためです。
  • ウェットフードや手作り加熱食を食べているネコは、食事でとる炭水化物の量が少ないため、糞の量と匂いが減る傾向にあります。
  • 生食を食べているネコは、糞の量がとても少なく、匂いもほとんどしないことが多いです。これは生食がネコにとって一番消化がいいので、未消化で残る物質が減るためです。
  • うちにいるネコさんは、たまに缶詰を爆食してしまったとき、次の日に鼻が曲がるような匂いの糞をしていました。缶詰のウェットフードをメインにあげていた期間は普通のウンチの匂い(?)だと思います。生食をあげている期間は、糞が少なくて全く臭くありません。顔をウンチにかなり近づけて臭いを嗅いでもほとんど匂いません(汗)例に漏れず、糞に未消化で残る物質が少ないほど匂いも減っているようです。

どうしてカリカリは炭水化物が高いの?

  • ドライフードの炭水化物の割合が高いのは、カリカリの形を長期間崩れずに保つために炭水化物が必要だからです。カリカリは袋を開けてお皿に出しておくだけでいいので、人間にとってはとても楽で便利です。
  • 炭水化物は穀物、芋、豆などに多く含まれています。これらの原材料はお肉よりもかなり安いため、一般的に炭水化物の割合を増やせば増やすほど、安いドライフードができます。
  • 私達人間は雑食性なので、穀物などの炭水化物を食べてもあまり病気になることはありません。しかしネコは真性肉食獣なので、人間とは消化の仕組みが異なります。
  • ウサギはネコの真逆の草食動物ですが、もしもラビットフード(ウサギの餌)の原材料がお肉だったら変ですよね。でも、お肉の値段がもし穀物よりも安かったら、ラビットフードもお肉からできていたかもしれません。ウサギが肉を食べないのと同様、ネコも本来は穀物を食べません。
  • お肉の値段が穀物より安くなったため、草食動物に肉を食べさせた事例は過去にあります。家畜のウシの餌として、ウシからできた肉骨粉をあげていたことで狂牛病の流行を招きました。
  • ネコは肉食動物なので、理想の食事はカリカリではありません。ネコの食事は低炭水化物で穀物・芋・豆などを含んでいないか、含んでいてもごく少量であることが1つの理想です。

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