ドライフードの水分量

ドライフード(カリカリ)の水分量の少なさの問題や結石について。

ドライフードの水分量の少なさ

  • ネコは野生では小動物、小鳥、虫などを食べて生活しています。虫はとても小さいので、実質食べ物の多くの割合が小動物や小鳥となります。
  • 小動物や小鳥の体は、60~80%が水からできています。そのためネコの食事は、60~80%程度の水分を含むのが理想です。
  • 下表はネコの食事の平均的な水分量です。
    タイプ 水分量
    ドライフード 5~10%
    ウェットフード 70~80%
    生食 60~70%
    手作り食(加熱) 60~70%
    ドライフードは商品だけでなく、保存状態でも水分量が若干変わります。手作り食の場合、食材や調理方法でも水分量が変わります。
  • ドライフード(カリカリ)だけ水分がとても少ないことが分かります。水分量の観点でいえば、カリカリはネコにはあまり向いていません。

ドライフードをあげても水を飲めば大丈夫?

  • 猫缶をよく食べるネコさんは、食事で十分な水分を摂取できるためお水をあまり飲みません。一方でカリカリをよく食べるネコさんは、食事に水分があまり含まれていないためお水をたくさん飲みます。
  • しかし、カリカリに含まれる水分はあまりに少なく、お水をたくさん飲んだとしても十分な水分が摂取できていないネコさんが多いようです。ウェットフードだけを食べるネコが1日に摂取する水分量は、ドライフードだけを食べるネコの約1.5倍ということです(脚注1)。
  • 言い換えれば、ドライフードだけを食べるネコさんは、お水をたくさん飲んだとしても、平均して必要量のおよそ1.5分の一(67%)しか水分を摂取できていません。これはあくまで平均なので、ネコさんによっては水分量がもっと足りていないことも考えられます。これでは病気になってしまっても仕方がありません。
  • ネコの摂取水分量が増えると、慢性的な脱水を予防するだけでなく、ネコの尿量が増えます。ウェットフードを食べることでオシッコの量が増えるため、ドライフードだけを食べているネコよりも尿が薄くなります。
  • カリカリだけ食べるネコは1日平均1~2回オシッコをしますが、缶詰だけ食べるネコは1日平均2~4回オシッコをします。ウェットフードを食べるネコは膀胱に濃いオシッコをためておかないので、濃い尿が原因となる病気にかかりにくくなります。
  • 濃い尿が原因となる病気は、FLUTD(猫下部尿路疾患)、尿路結石、腎結石などがあります。ドライフードを食べず、お肉が主原料のウェットフード、バランスの良い生食や手作り加熱食などを食べているネコさんは、これらの病気にかかることはほとんどありません。

どうして水をあまり飲まないの?

  • ドライフードをあげている方は、ネコさんに水を飲ませる方法を色々工夫されている方も多いみたいです。そもそもネコさんが必要量の水をガブガブ飲んでくれれば苦労もないのですが、ネコは砂漠の動物のため中々水を飲まないようです。
  • ネコの直接の祖先はリビアヤマネコと言われています。リビアヤマネコはアフリカや中東の砂漠に生息しています。
  • リビアヤマネコは砂漠の暑い、乾燥した地域に住んでいたため、池などの飲み水がないことが多々ありました。そのため人間など他の動物に比べ、喉が渇きにくく進化したようです。砂漠の生き物には水をあまり飲まない動物がたくさんいますよね。
  • ネコの水分摂取が不足しがちなのは、ネコの舌が水を飲むために作られていないことも1つの原因です。(猫は水を飲むのが苦手!で説明しています。)
  • リビアヤマネコの水分摂取は、水を飲むのではなく、主に狩った獲物が体に持っている水分から行われていました。直接の子孫であるイエネコも体の仕組みはあまり変わっていません。そのためネコは水分を食事と別々にとるのではなく、一緒にとる方が向いています。

ドライフードに水を加えても大丈夫?

  • 水分量の観点からいえば、ドライフードを水でふやかしてあげてもOKです。
  • カリカリは1日中お皿に出しておき、ネコが自由に食べられるようにすることも多いと思います。しかし水でふやかしてしまった以上、ウェットフード同様に微生物が繁殖したり、穀物につくカビ増殖の危険もあります。
  • ふやかしたカリカリを1日中出しておくのは危険が伴います。ウェットフードを出しておくのと同じくらいの時間が来ても食べられていなかったら、その分は捨てた方が無難です。
  • ふやかしたドライフードは長い時間放置できず、ウェットフードと同じ扱いになってしまいます。ウェットフードは缶詰にされるとき殺菌処理されているため、ふやかしたドライフードの方が寧ろ危険です。カリカリをやめて缶詰に移行してしまえば、カリカリに含まれる炭水化物も避けることができます。

スポンサードリンク

PR

PR