フランケン生食で不足しやすい栄養素
猫のフランケン生食で不足しがちな栄養素の一覧と、栄養素が摂取できる食品・サプリメントについて。
フランケン生食の栄養バランス
- フランケン生食では、肉/骨/レバー/その他内臓を80/10/5/5程度の割合で与えることで大まかな栄養バランスを満たすことができます。しかし、この割合を守っていても不足してしまう栄養素があります。フランケン生食の食材として使う家畜の肉だけでは、野生の獲物が持つ栄養バランスを大まかにしか再現できません。
- 人間が食べるために生産された家畜の肉は、ネコが野生生活で食べていた血液や毛皮などを含みません。また野生の獲物を再現するためとはいえ、すい臓やひ臓など入手するのが困難な内臓を与えるのは大変です。さらに家畜は運動不足な上に穀物の飼料で太らされていることが多いため、仮に丸ごと食べたとしても、野生の獲物が持つ栄養バランスとは異なってしまいます。
- 現在の家畜からとれたお肉や内臓に不足する栄養素を補うには、食事内容に卵や魚を加えるのが効果的です。魚については魚のオメガ3脂肪酸に詳しく掲載しています。
- フランケン生食で肉・骨・内臓・卵・魚をバランス良く与えているとき、食事に不足する栄養素はかなり限られます。生食でAAFCO総合栄養食の基準を念のため満たしたい場合、この食事内容に適量のサプリメントを追加する飼い主さんもいます。またフランケン生食の食事内容が栄養的に十分であるとして、長年サプリメントを使っていないお家もあるようです。
- 食事に卵や魚を加えるのが面倒だったり、ネコさんが卵や魚を食べない・アレルギーで食べられないお家もあります。その場合、食事に不足する栄養素が増えるので更なるサプリメントの添加が必要です。
フランケン生食で不足しがちな栄養素(ビタミン)
ビタミンD
- ビタミンDは魚を食事内容に加えないときに不足しがちな栄養素です。
- ビタミンDの主な食品源:
魚(イワシなど) - ビタミンDのその他の食品源:
卵の黄身
ビタミンE
- ビタミンEは卵を食事内容に加えないと不足してしまいやすいです。
- ビタミンEの主な食品源:
卵の黄身 - ビタミンEのその他の食品源:
魚(イワシなど)
ビタミンB9(葉酸)
- ビタミンB9(葉酸)はレバーなどの食品に多く含まれます。フランケン生食では食事の5%程度をレバーとしますが、この割合を守っていればある程度の葉酸が摂取できます。
- 葉酸の主な食品源:
鶏レバー、七面鳥レバー、牛レバー - 葉酸のその他の食品源:
鶏ハツ(心臓)、牛マメ(腎臓)
フランケン生食で不足しがちな栄養素(ミネラル)
銅
- 銅は食事に適量の牛レバーを取り入れれば不足の心配はありません。牛レバーは銅の含有量がとても高いので、与えすぎには注意です。
- 銅の主な食品源:
牛レバー - 銅のその他の食品源:
牛肉、牛ハツ(心臓)、牛マメ(腎臓)、鶏レバー、鶏ハツ(心臓)、魚(イワシなど)
鉄
- 鉄はレバー(肝臓)やマメ(腎臓)の食材に多く含まれます。フランケン生食で使われるレバー5%に加え、マメ等を数%は食事に加えないと鉄が少し不足してしまいます。
- 鉄の主な食品源:
鶏レバー、牛レバー、牛マメ(腎臓) - 鉄のその他の食品源:
牛肉、卵の黄身、魚(イワシなど)
ヨウ素
- フランケン生食に魚や卵を加えていないと、食事中にヨウ素が全く含まれない恐れがあります。おやつで与えられることがある海苔や、ヨード卵丸1個はヨウ素含有量がネコには高すぎるため注意です。
- ヨウ素の主な食品源:
魚(イワシ、サケなど) - ヨウ素のその他の食品源:
卵の黄身
亜鉛
- 亜鉛は鶏むね肉などのあっさりした肉ばかり使い、牛肉などの赤い肉を加えないと不足することがあります。亜鉛を特に多く含む食品は貝のカキですが、フランケン生食にカキを加える人はほぼいません。
- 亜鉛の主な食品源:
牛肉、羊肉 - 亜鉛のその他の食品源:
豚肉、鶏もも肉、鶏手羽先
マンガン
- マンガンはほとんどの手作り食に不足する栄養素です。ムラサキイガイなどに多く含まれますが、生食に貝を加える飼い主さんは少ないです。食事中のマンガン不足を気にしないレシピも多いようですが、気になる場合はサプリメントでしっかり補えます。
- マンガンの主な食品源:
なし(サプリメント) - マンガンのその他の食品源:
鶏レバー、七面鳥レバー、牛レバー
フランケン生食で不足しがちな栄養素(その他)
コリン
- コリンは生食に適量の卵を加えていれば不足する心配はありません。
- コリンの主な食品源:
卵の黄身 - コリンのその他の食品源:
鶏肉、牛肉、鶏レバー、牛レバー
タウリン
- タウリンは生肉にたっぷり含まれていますが、加熱や冷凍→解凍といった過程で失われがちな栄養素です。食品ごとのタウリン含有量のデータが入手しにくいこともあり、念のためサプリメントを添加する人もいます。
- タウリンの主な食品源:
生肉
オメガ3脂肪酸
- オメガ3脂肪酸は食事にイワシなどの魚か、魚油サプリメントを加えないと不足しがちです。また一般的な家畜のように穀物で太らされていない動物は、オメガ3脂肪酸の割合が高いです。
- オメガ3脂肪酸の主な食品源:
魚(イワシ、サケなど) - オメガ3脂肪酸のその他の食品源:
狩猟肉(鹿肉など)、牛肉(牧草肥育)、卵の黄身
食物繊維
- 食物繊維は生きていくために必要な栄養素ではありませんが、便秘がちなネコには茹でたカボチャやサプリメントにより食物繊維を与えるのがオススメです。
- 食物繊維の主な食品源:
カボチャ、その他野菜
注意点
食品源について
- 各栄養素の「主な食品源」「その他の食品源」には、フランケン生食で一般的に使われる食材の中で、その栄養素を含むものを掲載しています。穀物・芋・野菜・乳製品・魚以外の魚介類など、生食で使われることがなかったり、栄養素に期待して使われるわけではない食材は食品源に掲載していません。
- その食材から得られる栄養素が多いときは「主な食品源」、少ないときは「その他の食品源」に掲載しています。その栄養素を含まなかったり、含んでいてもごく少量の食材は掲載していません。
内臓・卵・魚について
- フランケン生食では肉/骨/レバー/その他内臓がおよそ80/10/5/5の割合になるように食材を与え、これに卵や魚を加えます。内臓・卵・魚は肉と比べて与える量が少ないことを考慮する必要があります。内臓・卵・魚の食材が各栄養素について肉と同程度の含有量であるとき、このページでは肉よりも食品源として重視していません。
- 例えば鶏肉と鶏レバーが、いずれも栄養素Aを100gあたり100mg含むとします。鶏肉を80g与えるとき、必要な鶏レバーは5gです。これらの食材から得られるAの量は、鶏肉80gからは80mg、鶏レバー5gからは5mgとなります。よって栄養素Aはほとんど鶏肉から摂取され、鶏レバーから摂取される量は無視できる程度です。このようなとき、鶏肉を「主な食品源」に掲載かつ鶏レバーを「その他の食品源」に掲載、あるいは鶏レバーを掲載しないことがあります。
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