キャットフードの合成着色料

キャットフードに使われる合成着色料と、その危険について。

合成着色料とは

  • 着色料は食品添加物の一種で、食品の見た目をキレイにするために使われます。着色料はペットフードだけでなく、人間用の加工食品にもよく添加されています。
  • 多くのキャットフードには、見た目を良くするための着色料が添加されています。ドライフード(カリカリ)は製造時に色々な材料を混ぜたり、加熱乾燥されることで茶色系の地味な色になってしまいます。実際、着色料無添加のカリカリは茶色や灰色です。これでは新鮮なお肉と比べるとあまり美味しそうには見えません。
  • 市販のカリカリは赤かったり、鮮やかな色のものがたくさんあります。しかし多くのカリカリは原材料のお肉や野菜の色ではなく、着色料の色です。カリカリがキレイな赤色をしていると、原材料にお肉を使っていないカリカリであっても、まるでお肉からできているように見えます。
  • 着色料はドライフードだけでなく、多くのウェットフード(缶詰、パウチなど)にも見た目向上のために添加されています。
  • 合成着色料とは、化学合成により生産された着色料のことです。対して自然着色料は、植物・動物・鉱物などの自然原料に由来しています。
  • 合成着色料は自然着色料よりも安く、着色力が強いのがメリットです。また自然着色料を添加すると食品の味が変わってしまうことがありますが、合成着色料の添加では基本的に味が変わりません。
  • キャットフードによく使われる合成着色料は、赤色40号、黄色4号、青色1号などの食用タール色素です。

どうして着色料を使うの?

  • 着色料は合成・自然どちらであっても、キャットフードの見た目を良くするために使われます。見た目が良いキャットフードの方が、多くの人間(ネコの飼い主さん)が買ってくれるためです。
  • 一方、着色料がネコの役に立つことはありません。ネコは食べ物が美味しそうか判断するとき、視覚よりも嗅覚に頼ります。なのでキャットフードがネコに食べてもらえるかは、見た目ではなくニオイが重要です。
  • キャットフードに赤い着色料が添加されてお肉っぽい色になっていても、そもそもネコの目は赤色を認識できないため意味がありません。(脚注1

着色料を摂取するとどうなる?

  • 合成着色料が生物にどのくらい害を与えるかについて、現時点ではよく分かっていないことも多いです。
  • 合成着色料を一度に多量に摂取したときの急性毒性については、研究がたくさんあります。その結果に基づいて、食品中の着色料の量は調整されています。着色料が使われたフードを食べたからといって、ネコさんが今すぐに病気になることは考えにくいです。
  • 一方で数年~数十年といった長い間、微量の着色料を毎日摂取し続けたときの慢性毒性については研究がほぼありません。長期間にわたる慢性毒性の研究の不足は、合成保存料やその他食品添加物とも共通しています。
  • 着色料には発ガン性が疑われるものがあります(脚注2、3)。またアレルギーを引き起こすと考えられている着色料もあります(脚注4)。
  • 着色料が肌に触れたり目に入ると、かぶれたり炎症を引き起こすことがあります。
  • 着色料は、人間の子どものADHD(注意欠陥・多動性障害)のような行動の問題との関連が疑われています(脚注5)。イギリスやEUでは子どもの健康向上のため、着色料の食品への添加を規制しています(脚注6)。一方でFDA(アメリカ食品医薬品局)はADHDと着色料の関連性は確立されていないとしています(脚注7)。
  • 着色料が引き起こす害(特に慢性毒性)については機関ごとの意見の対立もあり、研究が不足している点や不明点が多いです。

合成着色料を摂取したときの危険

  • 着色料を人間が摂取したときの害では不明点が多いです。なので、ネコが摂取したときの危険についてはさらに分かっていません。
  • 食品添加物は、特定の食品に使われたり、別な添加物と一緒に使われることで危険度が変わることがあります。添加物の相互作用についての研究はまだまだ必要だと思います。
  • FDAが認可している着色料でも、100%安全であるとはいえません。FDAは研究結果に基づき、過去にアマランスなど色々な着色料を禁止してきました(脚注8)。なので、現在認可されている着色料でも、将来的には禁止されることがあるかもしれません。
  • キャットフード中に含まれる合成着色料は微量なため、安全だと宣言するペットフード製造元もあります。確かにそのキャットフードの着色料でネコが病気になる証拠はありません。しかし、その着色料が全てのネコにとって、一生摂取し続けても安全という保障もありません。もしネコが着色料が原因でガンなどの病気になったとしても、急性毒性でないため原因が特定されることは考えにくいです。
  • キャットフードの合成保存料を避けている飼い主さんは、着色料も避けていることが多いと思います。キャットフードの食品添加物をなるべく避けていくことで、ネコが一生の間に摂取する添加物の総量はかなり減ることになります。
  • 着色料と合成保存料、どちらもネコに及ぼす危険がよく分かっていないという点では共通しています。しかし、保存料は着色料と違いネコの役に立ちます。ネコが腐ったドライフードを食べる事故があまりないのは、添加された保存料により油脂の酸敗が防がれるためです。それに対し、着色料がネコの役に立つことはありません。
  • 着色料は発ガンを含む様々な害が疑われています。不利益が疑われる一方で、ネコに対する利益は1つもなく、リスクとリターンの関係が成り立ちません。なのでネコさんのことを考えるなら、キャットフードの着色料はできるだけ避けた方がいいと思います。

着色料の避け方

  • ネコさんの健康を考えて、着色料などキャットフードに含まれる食品添加物をなるべく避けている飼い主さんも増えているみたいです。
  • プレミアムフードをうたう多くのキャットフードは、製造時に着色料を添加していないことが多いです。「着色料無添加」「着色料不使用」などと書かれたフードを買うか、原材料のラベルを見て着色料が含まれていないものを選べばOKです。
  • 着色料無添加のキャットフードは、フードの外見には頼れません。特にドライフード(カリカリ)は茶色い地味な色となってしまいます。見た目に頼らない代わりに、栄養バランスの良さや高品質な材料をウリにしているキャットフードも多いです。
  • 「着色料無添加」と書かれたキャットフードでも、着色料を含むことがある点については注意です。原材料がペットフードメーカーに届く前の段階で着色料が添加された場合、製造されたフードは着色料無添加の表示ができます。
  • 亜硝酸ナトリウムは着色料ではありませんが、肉に添加することで赤いお肉を作ることができます。亜硝酸ナトリウムは着色料ではなく、発色剤の分類に入ります。着色料無添加の食品でも、赤い着色料の代わりに亜硝酸ナトリウムを含むことがある点には注意です。亜硝酸ナトリウムは大腸がんとの関連性が指摘されています(脚注9)。
  • ネコの食事に含まれる着色料を絶対に避けたい場合、信頼できるお店から人間基準の食材を購入し、手作り食にするしか方法はありません。

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