卵の与え方

猫のフランケン生食で、栄養補給のために卵を与える方法について。

与える量・頻度

  • フランケン生食では、お肉や内臓に不足しがちな栄養素を補うために生卵がよく与えられます。生卵はコリンやビタミンEの摂取や、脂肪酸バランスの改善に役立ちます。
  • 生食を実践中の多くの飼い主さんが、全卵か卵黄をネコの食事に加えています。与える量は、1週間に全卵1個or卵黄1~3個程度か、1週間に一度だけ食事を生卵と置き換える程度です。
  • 獣医師Karen Shaw Beckerは、1日2回食事を与える場合、1週間に4回だけ食事の1/4を卵と置き換えることを推奨しています(脚注1)。この給与量は1週間に1回だけ食事を卵と置き換えることと同等ですが、それを4回に分割することで卵から栄養をとれる頻度を高めています。
  • 獣医師Lisa A. Piersonは以前、肉と骨3ポンドあたり卵2個を食事に加えていました(脚注2)。この給与量をもとにすると、フランケン生食では3~14日につき1個程度の卵を与えることになります(ネコが1日に食べる食事量により異なります)。
  • 獣医師Lisa A. Piersonはもう何年もレシピに卵を加えていませんが、特に問題は起こっていないようです。理由は卵を加えるのが面倒なためだそうです。

全卵の与え方の例

  • 1日2回ネコに食事を与え、1週間に一度だけ食事を全卵と置き換えるお家を例とします。このお家ではネコが1日に120gの生食を食べるとします。ネコさんは朝に60g、夜に60gの生食を食べます。
  • このお家の生食1回分は60gです。1週間に一度だけ食事を生食と置き換えるので、このネコは1週間あたり60gの卵を食べることになります。全卵(大)の重量は50g程度なので(脚注3)、1週間に1~2個の卵を与えればOKです。
  • できれば、1週間に1度だけ60gの卵を与えるよりも、分割して与えた方が何度も栄養を摂取できるので良いです。例えば1週間に4度だけ15gずつ、あるいは1週間に3度だけ20gずつの卵を与えます。
  • 1日に与える食事回数が変わっても、1週間あたりに与える卵の量は変わりません。例えばネコさんが1日に食べる食事量が120gのとき、1日3回食事を与えるとします。ネコは朝、夕方、夜に40gずつの食事を食べます。この場合でも、ネコさんが1週間に必要な卵の量は60gです。

卵黄の与え方の例

  • ネコに生食を与えるとき、生卵の白身を避けるお家もたくさんあります。これは栄養の多くが黄身に詰まっている上に、白身にはアビジンという物質が含まれるためです。アビジンはビオチンという栄養素の吸収を阻害してしまいます。
  • 卵の白身を使わずに黄身だけを使う場合、1週間あたりに必要な黄身の量を計算する必要があります。
  • NutritionData.comによると、全卵(大)の重量は50g、卵黄(大)の重量は17gです(脚注3、4)。うちでは中くらいの卵を使っているのですが、全卵と卵黄の重量は大体これで合っていると思います。
  • 1日2回ネコに食事を与え、1週間に一度だけ食事を卵黄と置き換えるお家を例とします。このお家ではネコが1日に120gの生食を食べるとします。ネコさんは朝に60g、夜に60gの生食を食べます。
  • このお家の生食1回分は60gです。1週間に一度だけ食事を卵と置き換えるので、このネコは1週間あたり60gの全卵を食べることになります。全卵60gあたりの黄身の重量は約20gなので、このネコが1週間に必要な黄身の量は20gです。
  • 卵黄は1個17gなので、1週間に1個、たまに2個の黄身を与えれば丁度良いです。また、このお家で毎週2個ずつの黄身をあげても問題なさそうです(1週間に数個の黄身を与え続けているお家もあるくらいです)。ただしネコさんのウンチがゆるくなるなどの異常があれば、卵を減らすか、骨の割合を増やして通常の硬さの便に調整します。
  • 1日に与える食事回数が変わっても、1週間あたりに与える卵黄の量は変わりません。例えばネコさんが1日に食べる食事量が120gのとき、1日3回食事を与えるとします。ネコは朝、夕方、夜に40gずつの食事を食べます。この場合でも、ネコさんが1週間に必要な卵黄の量は20gで変わりません。

卵を与える個数

全卵

1日あたりの
食事量
1週間あたりの
全卵(個数)
1週間あたりの
全卵(重量)
50g 1/2個 25g
100g 1個 50g
150g 3/2個 75g
200g 2個 100g

卵黄だけ

1日あたりの
食事量
1週間あたりの
卵黄(個数)
1週間あたりの
卵黄(重量)
50g 1/2個 8.5g
100g 1個 17g
150g 3/2個 25.5g
200g 2個 34g
  • 1日2回食事を与えることを前提とし、1週間に1度だけ食事を卵と置き換えるとします。そのとき必要となる卵の個数・重量の目安です。
  • 実際には上記の量を一度に与える必要はなく、1週間の中で数回に分けて与えた方が良いです。

卵の殻は与えても大丈夫?

  • イヌに生食を与える場合、卵を殻ごとあげても食べてくれることが多いようです。殻を潰して小さくしてからあげる飼い主さんもいます。
  • 卵の殻にはカルシウムがたっぷり含まれています。殻つき卵をイヌによく与える場合、卵の殻を骨の割合に含めているお家もあります。
  • 一方で、ネコに卵の殻を与える人は少ないみたいです。生食で骨を与えないお家では卵殻を砕いた粉をカルシウム源として加えることがありますが、殻つきの生卵をあげるお家は少数派です。
  • ネコに殻つき生卵をあげるお家が少ない理由には、ネコは多くのイヌよりも口が小さく、卵の殻を食べにくいことが挙げられます。またネコはイヌよりも好き嫌いが激しいことが多く、生卵を食べられるネコでも、殻を加えると食べなくなってしまうことがあります。
  • 生食でネコに卵の殻を与えることが少ないのは、ネコが殻を食べないのが大きな理由です。卵の殻が大好きというネコさんの場合、殻つき卵を与えても大丈夫そうです。ただし殻を丸飲みしようとするネコさんには注意が必要です。
  • 市販の多くの卵の殻は、化学薬品で殺菌処理されています。残留薬品などが心配なら、卵の殻は食事に加えない方がいいと思います。
  • うちではこれまで卵の殻をネコに与えたことはありません。理由はネコが殻つき卵に興味がないためです(食べ物と分からないのかも・・?)。またフランケン生食では生骨によりカルシウムを十分摂取できるので、卵の殻を食事に加える必要は特にありません。

卵の加熱について

  • 生卵を食べると、吐いたり下痢をしてしまうネコさんも中にはいます。このようなネコさんでも、加熱調理済みの卵なら問題なく食べられることがあります。このような場合は、卵をあげる直前に軽くゆでるか、焼くのがオススメです。
  • また生卵の食感や味が大嫌いで、絶対に拒否するネコさんもいます。このようなときは、卵をゆでてから与え、徐々にゆで時間を少なくして生卵に慣らす方法が考えられます。
  • 卵を加熱すると各種栄養素が壊れてしまい、生卵よりも栄養価は低くなってしまいます。しかし卵を全く食べないよりは、加熱した卵だけでも食べた方が良いとされます。そのためネコさんが生卵を食べられるようになるまでは、軽く調理してあげることが推奨されています。
  • 加熱調理済みの卵は、生卵よりも鮮度が落ちやすくなります。なので調理後すぐにネコさんに与えるか、冷蔵庫に保存して数日以内に使いきります。
  • ネコさんが卵アレルギーの場合、生か加熱済みかに関係なく卵を食事に加えるのは危険です。アレルギーの場合は卵を避け、必要に応じて食事にサプリメントを添加します。

脚注

  1. Taylor, B, & Becker, KS 2013, Dr. Becker's Real Food for Healthy Dogs and Cats: Simple Homemade Food, 4th edn, naturalpetproductions.com (書籍)
  2. Making Cat Food by Lisa A. Pierson, DVM :: homemade cat food, cat food recipes
  3. Nutrition Facts and Analysis for Egg, whole, raw, fresh
  4. Nutrition Facts and Analysis for Egg, yolk, raw, fresh

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