ドライフードの歯磨き効果

ドライフード(カリカリ)の歯磨き効果について。

ドライフードはネコの歯にいい?

  • ネコの歯の健康には、ウェットフードよりもドライフードが良いと言われることがあります。ネコの食事でドライフードが主流となってから西暦2005年ほどまでは、ドライフードに歯磨き効果があると信じられてきました。
  • ドライフードに歯磨き効果があるとされる理由は、ネコがカリカリを噛むとき、カリカリの硬い表面が歯にこすれて歯磨きになるためとされています。
  • 一方で、ドライフードに歯磨き効果や、歯垢・歯石予防効果があるかを証明した統計的な実験データはありません。大きなペットフード会社は研究予算をたくさん持っていて、自社製品が「○○に効果的!」と宣伝したがる傾向があるので、一般的なカリカリに本当に歯磨き効果があるとしたら既に統計データがなければおかしい気もします。
  • またカリカリを食べているネコであっても、歯石がついてしまい動物病院で処置してもらったネコさんはたくさんいます。

カリカリを食べるとき起こること

  • 猫は真性肉食動物なので、本来お肉を食べることが得意です。ネコはお肉の塊でも、あまり大きくなければ噛まずに飲み込んでしまったりします。
  • ドライフードは粒が小さいので、ネコは多くの粒を噛まずに飲み込んでしまいがちです。うちにいるネコにも間食にカリカリや乾燥系のおやつをあげたことがあるのですが、噛まずに何粒も一度に飲み込んで喉につかえそうになっていました・・・。カリカリを噛んでくれるかは個体差もあると思います。
  • ネコがカリカリを噛むとき、「カリッ」といういい音がしますよね。カリカリはもろいため、ネコの尖った歯の先端が当たると同時に「カリッ」と砕けてしまいます。砕けてしまっているので、歯にこすれることで歯磨き効果があるのかはかなり疑問です。
  • ネコがカリカリで歯磨きできるなら、人間も同様にビスケットで歯磨きできるはず。人間の歯がビスケットにこすれたときに歯がきれいになるはず・・・?なりませんよね(汗)

歯垢と歯石

  • 歯についた歯垢(プラーク)が歯石となって固まってしまい、動物病院で取ってもらったネコさんはたくさんいます。
  • 歯石ができる過程は、動物の種類に関わらず大体同じです。まず動物が食事をすると、歯が歯垢で覆われます。歯垢は微生物と、見えないくらい小さな食べ物の残りカスからできています。食べ物が歯にくっつきやすいほど、多くの歯垢が残ります。
  • 歯垢は柔らかいので、歯磨きで落とすことができます。しかし歯磨きをサボってしまったり、歯磨きで取れなかった歯垢はやがて歯石となって固まってしまいます。歯石は歯垢中の死んだ細菌・微生物などがカルシウム等により固まったものです。
  • 歯石を放置していると、歯石についた歯垢がさらに歯石化し、歯石が成長していきます。こうなってしまうと歯磨きでは取れず、獣医さん(人間なら歯医者さん)に取り除いてもらう必要があります。

歯石と炭水化物

  • ネコでも人間でも、歯石のつきやすさは体質によるところが大きいです。歯石がつきやすい人は、歯にくっつきやすいでん粉質や砂糖が多く含まれる食べ物を避けるよう指導を受けることがあります。
  • 一方ネコの場合、でん粉質が多い食べ物といえばドライフードのことです(ドライフードの炭水化物にまとめています)。歯石がつきやすい人間はでん粉質を避けてと言われる一方で、歯石を防ぐためにネコにドライフードを食べさせるのは何か違う気がします・・。
  • カリカリは炭水化物の割合が高く乾燥しているので、食べた後に口内にくっついた食べカスが残りやすいです。ビスケット(ドライフード)を食べた後と煮物(ウェットフード)を食べた後では、煮物の方がお口がさっぱりです。
  • 歯石は主にだ液タンパク、乳タンパク、デンプン粒などから構成されていて、お肉からのタンパク質はあまり歯石の原因にはなりません(脚注1)。カリカリはデンプンなど炭水化物の割合が高いため、ネコの口内に歯垢・歯石の原料を増やしてしまいます。

ウェットフードはネコの歯に悪い?

  • ドライフードが歯に良いという都市伝説とセットで、ウェットフードは歯に悪いといわれることがあります。一般的なドライフードが歯に良いことを証明した実験データはありませんが、同様に、ウェットフードが歯に悪いことを証明したデータもありません。
  • ウェットフードは炭水化物の割合がドライフードと比べて低いことが多く、ネコにとって健康的です。それだけでなく、歯石の原因となる炭水化物が少ないため、これらの缶詰がカリカリよりもネコの歯に悪いとは考えにくいです。
  • 一方で中には、混ぜ物として大量のトウモロコシや小麦などでかさ増ししているウェットフードも無くはありません。炭水化物の高い缶詰は歯にベタベタくっつきやすく、歯に良いようには思えません。(かといって高炭水化物のウェットフードがネコの歯に悪いというデータもないのですが・・・。)カリカリを全く噛まずに素早く丸飲みするネコさんの場合、歯の健康だけを考えると、カリカリの方が高炭水化物のウェットフードよりも良いということにもなりかねません。カリカリに歯磨き効果があるわけではないのですが、丸飲み型のネコさんならカリカリが歯にくっつくこともありません。

歯磨きと生食

  • ネコの歯をキレイに保つには、歯ブラシで磨くのが一番です。ネコ用の歯ブラシはペットショップやオンライン通販で購入できます。
  • ネコさんが歯磨きに協力してくれるかは個体差が激しいところです。管理人の家の誰かのように、非協力的、凶暴(!)なネコさんでも、なんとか歯磨きをする方法はあります。
  • 歯ブラシで歯磨きするほどではないですが、生肉の塊・生の手羽先などの骨入り肉をたまに与えることは、ネコの歯にとても良いです。また鶏などの砂肝はほどよく固く、お肉よりも歯磨き効果に期待されています。
  • 生肉の塊をあげる場合、ネコさんが食べ方が分からなかったり、噛まずに飲もうとして喉に詰まらせるのを防止するため、段階的な練習が必要です。ある日突然ネコさんに大きな肉塊をあげても、そもそも食べないネコさんも多いと思います。
  • ネコは生肉の塊や砂肝を何度も噛みちぎって飲み込みます。ドライフードと違って噛むときにカリッと砕けないので、生肉が歯にこすれて歯磨きになり歯茎の健康にもお役立ちです。
  • 生の手羽先など細めの骨が入った肉の塊をネコさんが食べていると、まれに歯についていたはずの歯石が取れていることもあるみたいです。生骨入り肉はネコの歯磨き代わりとしてとても良く、鶏の手羽先などを上手に食べられるネコさんには、たまに与えてあげると口内環境を清潔に保つのにお役立ちです。一方で慌てて食べるネコさんの場合、生骨入り肉は喉に詰まらせてしまうことがあるため危険なことがあります。
  • 私がネコを観察したり、色々な情報を調べたり聞いた後の個人的な意見では、ネコの歯の健康を考えるなら
    生食>>>手作り加熱食≒低炭水化物ウェットフード>ドライフード≒高炭水化物ウェットフード
    だと思います。
    ※フードの原材料・水分量や粘性・形状により、歯にくっつきやすさや歯垢の量が変わるため、全てのフードが当てはまるわけではありません。またネコさんがドライフードを全く噛まずに飲み込んでいる場合、炭水化物たっぷりのベッタリしたウェットフードよりはお口に残りにくくて歯に悪くなさそうです。

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